死亡を知った金融機関は、被相続人名義の口座からの通常の払戻しを停止します。払戻し・名義変更には、遺言、遺産分割、法律上の仮払い制度などに応じた相続手続が必要です。
凍結解除に常に相続人全員の同意が必要なわけではありません。まず銀行所定の書類を取り寄せ、遺言の有無、遺産分割の状況、当面必要な金額を確認し、使える手続を選びます。
銀行口座の相続手続は、各銀行の運用と、遺言・遺産分割の有無によって必要書類が変わります。「戸籍を全部そろえて窓口へ行けば終わる」「相続人全員の印鑑が必要」と決めつけず、最初に取引銀行へ連絡してください。
死亡後の預金を払い戻す4つの主な方法
1 遺産分割協議に基づく払戻し
遺言がなく、相続人全員で預金の取得者を決めた場合は、遺産分割協議書と銀行所定の相続手続書類を提出します。協議書を使わず、銀行所定の書面へ相続人全員が署名・押印する方式もあります。
2 遺言に基づく払戻し
有効な遺言で預金の取得者や遺言執行者が定められている場合は、遺言書の種類と内容に応じて手続します。自筆証書遺言は、法務局の保管制度を利用したものなどを除き、家庭裁判所の検認が必要になることがあります。
3 民法909条の2の仮払い
遺産分割前でも、各共同相続人は、相続開始時の預金額の3分の1に法定相続分を掛けた額について、単独で払戻しを受けられる制度があります。ただし、同一金融機関から受けられる上限は150万円です。必要書類や対象口座は金融機関に確認します。
4 家庭裁判所の仮分割の仮処分
遺産分割調停・審判が係属しており、生活費、葬儀費用などの必要性がある場合は、家庭裁判所へ預貯金の仮分割の仮処分を申し立てる方法があります。ほかの共同相続人の利益を害しないことなどが要件です。
銀行口座の凍結は死亡届と連動しない|止まる時期と払戻し方法
銀行口座の凍結とは、金融機関が口座名義人の死亡を把握した後、被相続人名義口座の入…
銀行に確認する前に用意する情報
- 被相続人の氏名、生年月日、死亡日、住所
- 支店名、口座番号、通帳・キャッシュカードの有無
- 連絡する人と被相続人との続柄
- 遺言書、遺産分割協議書、調停調書の有無
- 残高証明書や取引履歴も必要か
銀行へ死亡の連絡をした時点で通常の入出金が止まることがあるため、公共料金や施設費の引落し先も確認します。被相続人の暗証番号を使ってATMから払戻すと、後に使途や取得額をめぐる紛争になるおそれがあります。
一般に求められる書類
具体的な書類は銀行と手続の種類によって異なりますが、一般には次の資料が問題になります。
- 銀行所定の相続手続依頼書
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍、または法定相続情報一覧図
- 相続人の現在戸籍、印鑑登録証明書、本人確認書類
- 遺言書、検認済証明書、遺言書情報証明書
- 遺産分割協議書、調停調書、審判書と確定証明書など
- 通帳、証書、キャッシュカード
戸籍や印鑑登録証明書の有効期限を独自に定めている銀行もあります。ウェブ上の一般論だけで収集せず、所定用紙と必要書類一覧を先に取り寄せると無駄を減らせます。
銀行口座の相続手続きに必要な書類|遺言・遺産分割・調停別
銀行口座の相続手続きでは、相続関係を証明する戸籍類に加え、遺言、遺産分割協議、調…
手続期間は一律ではない
完了までの日数は、相続人の人数、戸籍の収集状況、遺言や協議書の有無、書類の不備、銀行の審査によって変わるため、「1~2週間」と一律にはいえません。期限のある支払がある場合は、通常の相続手続と仮払い制度のどちらが現実的かを早めに確認します。
公的資料
よくある質問
凍結解除には相続人全員の同意が必要ですか
手続によって異なります。遺言に基づく手続、民法909条の2の仮払い、家庭裁判所の仮処分など、状況に応じて単独で進められる手続があります。
遺産分割前に葬儀費用を預金から払えますか
民法909条の2の仮払い制度や、遺産分割事件が係属している場合の家庭裁判所の仮処分を検討できます。上限・要件・必要書類を確認してください。
仮払いで受け取れる金額はいくらですか
金融機関ごとに、相続開始時の預金額の3分の1に請求者の法定相続分を掛けた額までで、上限は同一金融機関につき150万円です。
銀行口座の相続手続は何日で終わりますか
一律の期間はありません。戸籍、相続人の人数、遺言・協議の状況、書類不備、金融機関の審査で変わるため、取引銀行へ個別に確認します。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法律・税務アドバイスではありません。具体的な判断は、資料を確認できる弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。



