借地権は、建物所有を目的とする地上権または土地賃借権です。相続税では普通借地権、定期借地権等、一時使用目的、使用貸借を区別します。
普通借地権は原則として「自用地価額×借地権割合」で評価します。契約名だけで判断せず、権利金、地代、残存期間、更新、無償返還、実際の利用を確認します。
最初に借地権の種類と課税時期を確認する
国税庁「借地権の評価」は、旧借地法・借地借家法上の普通借地権と、定期借地権、事業用定期借地権等、建物譲渡特約付借地権、一時使用目的の借地権を区分しています。
契約書、更新契約、土地・建物登記、地代台帳、権利金・保証金、地主との合意、課税時期の残存期間を確認します。相続税の課税時期は被相続人の死亡日です。
普通借地権は自用地価額×借地権割合
財産評価基本通達27により、普通借地権の価額は原則として次の算式です。
借地権の目的となる宅地の自用地価額 × 借地権割合
自用地価額は路線価方式または倍率方式で計算します。借地権割合は、路線価図ではA90%、B80%、C70%、D60%、E50%、F40%、G30%の記号で表示されます。倍率地域は評価倍率表を確認します。
借地権割合は売却価格への割引率ではなく、相続税評価のために地域ごとに定めた割合です。路線価に割合を掛けるだけでなく、先に地積・奥行・不整形等を反映した自用地価額を求めます。
地主側の貸宅地は借地権価額を控除する
借地権者側の「借地権」と、地主側の「貸宅地」は別の財産です。通常の権利金を受領して設定された借地権の目的となる貸宅地は、財産評価基本通達25により、原則として次のように評価します。
自用地価額 − 自用地価額×借地権割合
国税庁「貸宅地の評価」は、相当の地代、無償返還届、定期借地権等、区分地上権などで別の計算があることも示しています。借地権者の記事で地主側の底地評価を混ぜないようにします。
定期借地権等は普通借地権割合をそのまま掛けない
財産評価基本通達27-2により、定期借地権等は、課税時期に借地権者へ帰属する経済的利益と存続期間を基に評価するのが原則です。設定時の経済的利益、土地の通常取引価額、設定期間、課税時期の残存期間、基準年利率による複利年金現価率を使います。
一般定期借地権、事業用定期借地権等、建物譲渡特約付借地権は、終了方法と残存期間が異なります。「定期」と書いてあるだけで評価ゼロ、普通借地権と同じ割合、という説明はできません。
一時使用目的の借地権は雑種地の賃借権に準じる
一時使用目的の借地権は、通常の借地権割合で評価することが適当でないため、国税庁は雑種地の賃借権の評価に準じるとしています。契約期間が短いだけで当然に一時使用目的になるわけではなく、契約目的・建物・更新予定・利用実態を確認します。
使用貸借は普通借地権と別に扱う
国税庁の使用貸借通達は、個人間で建物所有を目的として土地を使用貸借した場合、その使用権の価額を零として扱います。土地所有者側は、貸宅地ではなく原則として自用地価額で評価します。
固定資産税相当額以下の授受だけなら使用貸借に該当し得ますが、地代、権利金、その他の経済的利益がある場合は、形式的に「無償」と書かれていても実態を確認します。税務大学校論叢112号は、札幌地裁平成26年5月13日判決などの争訟事例を整理し、使用貸借か賃貸借かは人的関係、金員の額、その金員が使用収益の対価かを踏まえて判断するとしています。
評価前にそろえる資料
- 土地賃貸借契約書・更新契約書・覚書
- 土地・建物の登記事項証明書、路線価図、評価倍率表
- 権利金、保証金、地代の支払記録
- 無償返還届、相当の地代に関する届出・計算資料
- 定期借地権等の設定日・終了日・残存期間
自用地の計算は相続税の不動産評価、地主側は底地・貸宅地の評価も参照してください。
よくある質問
借地権は必ず自用地価額×借地権割合ですか
普通借地権は原則その算式ですが、定期借地権等、一時使用目的、使用貸借、相当の地代等では評価が変わります。
借地権割合はどこで確認しますか
国税庁の課税年の路線価図・評価倍率表で確認します。路線価図はA90%からG30%の記号で表示されます。
親の土地に無償で家を建てた場合も借地権評価ですか
個人間の使用貸借であれば使用権価額は零、土地所有者側は原則として自用地評価です。地代・権利金等の実態を確認します。
借地権と貸宅地は同じ財産ですか
違います。借地権は借主側の権利、貸宅地はその権利の目的となっている地主側の土地です。申告する人の立場を確認します。
※本記事は一般的な情報提供です。借地権の種類、権利金、地代、残存期間、無償返還、使用貸借は契約と実態で変わるため、課税年の資料を用いて税理士等へ確認してください。



