父母が離婚しても、子と実父・実母との法律上の親子関係は残ります。離れて暮らす子も、親が死亡したときの第1順位の相続人です。
前の婚姻の子、現在の婚姻の子、認知された子は、現行法では子として同順位・均等です。一方、再婚相手の連れ子は、養子縁組をしなければ再婚相手の子にはなりません。
離婚しても子の相続権は消えない
民法887条1項は、被相続人の子を第1順位の相続人と定めています。父母の離婚は夫婦関係を解消しますが、実親子関係を解消する制度ではありません。
親権者でなかった、長年会っていない、養育費を払っていない、戸籍が別になったという事情だけで、子の相続権は消えません。遺産分割前に、被相続人の出生から死亡までの戸籍等で全ての子を確認します。
前の婚姻の子と現在の婚姻の子の相続分は同じ
民法900条では、配偶者と子が相続人なら双方の全体相続分は各2分の1で、子が複数いれば子の2分の1を均等に分けます。どの婚姻中に生まれたかで子の相続分は変わりません。
最高裁大法廷平成25年9月4日決定(平成24年(ク)984号・985号、民集67巻6号1320頁)は、嫡出でない子の相続分を嫡出子の2分の1としていた旧民法900条4号ただし書前段を、遅くとも平成13年7月当時には憲法14条1項に違反していたと判断しました。判例の全文・要旨は裁判所の裁判例検索とLegalScapeで確認できます。
この決定とその後の法改正は嫡出・非嫡出の相続分差別を扱ったもので、離婚・再婚家庭のあらゆる相続問題を直接判断したものではありません。また、決定は、既に審判・協議等で確定的となった一定の法律関係への影響を制限しています。
再婚相手の連れ子は養子縁組を確認する
再婚しただけでは、配偶者の連れ子と再婚相手との間に法律上の親子関係は生じません。連れ子は実親の相続人ですが、養子縁組をしていない再婚相手の相続人にはなりません。
民法727条により、養子縁組をすると養子と養親・養親の血族との間に親族関係が生じます。普通養子は原則として実親との親族関係も残るため、実親と養親の双方の相続人になり得ます。
特別養子は、民法817条の9により原則として実方の父母・血族との親族関係が終了します。配偶者の嫡出子を特別養子とする場合には例外があるため、戸籍と縁組類型を確認します。
代襲相続は縁組の時期にも注意する
被相続人の子が相続開始前に死亡している、相続欠格・廃除で相続権を失っている場合、その子の子が代襲相続人になることがあります。民法901条により、代襲相続人の相続分は被代襲者が受けるはずだった相続分です。
養子縁組前に生まれた養子の子は、養親との間で直系卑属の関係が生じないため、養親の相続で養子を代襲しません。縁組後に生まれた子とは扱いが異なるため、生年月日と縁組日を戸籍で確認します。
半血兄弟の2分の1ルールは「子同士」には使わない
民法900条4号ただし書は、父母の一方だけを同じくする兄弟姉妹の相続分を、父母双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1としています。これは、亡くなった人に子も直系尊属もおらず、兄弟姉妹が相続人になる場面の規定です。
亡くなった親の子として、前の婚姻の子と現在の婚姻の子が相続する場面に、この半血兄弟ルールは使いません。どちらも被相続人の「子」として同順位・均等です。
遺言があっても子には遺留分がある
遺言で特定の相続人へ財産を集中させることはできますが、子は原則として遺留分権利者です。配偶者と子が相続人なら遺留分全体は遺産算定額の2分の1で、各人の遺留分はその全体割合に法定相続分を乗じます。
遺留分侵害額請求は遺産分割を無効にする請求ではなく、原則として金銭請求です。相続開始と侵害を知った時から1年、相続開始から10年の期間を確認します。
相続人確定の順番
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍を集める
- 全ての実子、認知した子、養子と縁組日を確認する
- 死亡した子がいれば、その子の戸籍から代襲相続人を確認する
- 相続放棄、欠格、廃除、遺言の有無を確認する
- 相続人全員を遺産分割協議へ参加させる
法定相続人全体は法定相続人の範囲と順位、遺留分は遺留分侵害額請求も参照してください。
よくある質問
離婚して別戸籍になった子も相続人ですか
相続人です。離婚や別居で実親子関係は消えず、被相続人の子として第1順位の相続人になります。
前の婚姻の子は現在の婚姻の子の半分ですか
違います。現行法では子として同順位・均等です。半血兄弟の2分の1ルールは、兄弟姉妹が相続人になる別の場面の規定です。
再婚相手の連れ子も自動的に相続人ですか
再婚だけでは相続人になりません。再婚相手との養子縁組が成立しているかを戸籍で確認します。
普通養子は実親を相続できますか
原則として実親との親族関係が残るため、実親と養親の双方の相続人になり得ます。特別養子は原則として実方との親族関係が終了します。
※本記事は一般的な情報提供です。実子・認知・養子・代襲相続・遺言・遺留分は戸籍と個別事情で変わるため、戸籍一式をそろえて専門家へ確認してください。



