未成年者控除は、18歳になるまでの年数に応じて相続税額から差し引く制度だ。財産の評価額を減らす制度でも、子どもに現金が支給される制度でもない。年齢に加え、法定相続人か、住所などの要件を確認する。
父を亡くした優斗は15歳8か月。母の奈緒は、本人の相続税が30万円なら控除でゼロになるのか、引き切れない分を誰に使えるのかを調べている。優斗の取り分を決める話と、税額を計算する話を分けて進める架空の家族の例である。
年齢だけで決めず、三つの条件を確認する
財産を相続や遺贈で取得したときに18歳未満で、法定相続人であることなどが必要になる。相続放棄がある場合は、税務上、放棄がなかったものとした法定相続人の範囲で確認する。故人と無関係の未成年者が遺贈を受けただけで、必ず使えるものではない。
住所や国籍、故人の居住状況に関する要件もある。日本に住む人が基本の対象だが一時居住者等には例外があり、国外に住む人でも要件を満たす場合がある。海外居住なら一律に使えない、国内住所なら無条件、と判断しない。
古い記事には20歳を基準にする説明が残っていることがある。現在の相続では18歳が基準となるが、過去の相続を扱う場合は財産取得時と適用法令を確認する。
15歳8か月なら、18歳まで3年で30万円
控除額は、18歳になるまでの年数×10万円。1年未満の端数は切り上げる。優斗は15歳8か月なので18歳までは2年4か月あり、計算上は3年となる。控除額は30万円だ。
仮に優斗の控除前の相続税額が50万円なら、ほかの条件や控除を別として、30万円を引いた20万円が残る。遺産の3,000万円から30万円を引いて税率を掛ける、という順序ではない。
この控除は、将来の生活が長く続く未成年者の税負担に配慮する制度である。控除を使うために子どもの財産を親が自由に使えるようになるわけではない。優斗の財産の管理と納税は、本人の利益を守って進める必要がある。
引き切れない分は、扶養義務者の税額を確認する
優斗の税額が20万円なら、30万円との差額10万円を本人の税額からは引き切れない。この部分は、優斗の扶養義務者に当たる人の相続税額から控除できる仕組みがある。残りがそのまま現金で返ってくるわけではない。
扶養義務者には、配偶者、父母などの直系血族、兄弟姉妹のほか、3親等内の親族の一定の人が含まれる。「実際に同居している人なら誰でもよい」という意味ではない。誰の税額からいくら差し引けるかを申告全体で確認する。
奈緒の相続税額が配偶者の軽減でゼロなら、奈緒からさらに10万円の税金を引く余地があるとは限らない。前の相続でも優斗が未成年者控除を受けている場合は、今回の控除額に制限が生じることもある。
税額控除と、親子で分割を決める手続は別だ
親と未成年の子がともに相続人で、遺産分割で利益がぶつかる場合は、特別代理人の選任などを検討する。子どもの税額が少ないからといって、親が自分に有利な分け方を本人の代わりに決めてよいことにはならない。
必要なのは、故人と子の関係が分かる戸籍、生年月日、取得財産、前に同じ控除を受けた申告書、国外居住に関わる資料などだ。手続の代理人と、控除を使う相続人の範囲はそれぞれ確認する。
奈緒は「子どもだから税金なし」とひとまとめにするのをやめ、優斗の税額、未成年者控除、財産を分けるための手続の三つを別のメモにした。控除で本人の税額がなくなる場合でも、家族の申告の要否や他の特例の申告条件は別に確認する。
関連する手続は、相続税申告を自分でする方法|向くケース・必要書類・10か月期限からも確認できる。
よくある質問
高校生なら必ず相続税はゼロか
年齢だけでは決まらない。法定相続人や住所等の要件を確認し、計算された本人の税額から控除する。控除を超える税額が残ることもある。
1年未満は切り捨てるか
18歳までの残りの年数に1年未満の端数があれば切り上げる。15歳8か月なら3年分で30万円だ。
使い切れない分は現金でもらえるか
現金の給付ではない。条件を満たす扶養義務者の相続税額から差し引く仕組みを確認する。
確認に使える資料
2026年10月21日時点の一般的な説明である。登場人物と金額は説明用の架空の例で、実際の相談事例ではない。具体的な判断は資料と事情を確認して行う。



