認知した子は相続人になる?相続分・遺産分割・戸籍確認

認知した子は相続人になる?相続分・遺産分割・戸籍確認

現在の法定相続分では、認知された子と、婚姻中の夫婦の子に差はない。法定相続分は、法律が定める相続の割合だ。

ただし、生前の認知が後から分かった場合と、死後に認知され、既に遺産を分けたり処分したりしていた場合は、手順が違うことがある。

父の正一が亡くなり、誠は戸籍を集める中で、父が生前に認知した陽菜のことを知った。母の澄江は、住まいの手続を早く終えたい。

誠は、陽菜へどう連絡するか迷っている。陽菜は、父の財産と借金を確かめてから話したいと考えていた。これは、説明用の架空の家族だ。

認知は、法律上の親子関係を定める制度だ。戸籍と認知の時期を調べるのは、話合いへ参加する人と、使える権利を、はっきりさせるためだ。

家族が知らなかった、疎遠だった、という理由だけで、子の権利を外すことはできない。

認知された子も、子として相続人になる

結婚していない父母の子について、父との法律上の親子関係を、認知で定める場合がある。母との親子関係まで、一律に認知が必要という意味ではない。

民法779条以下の認知と、887条の子の相続権を、照らし合わせて確かめる。

現在の民法900条は、婚姻中の夫婦の子と、認知された子の法定相続分を、区別していない。以前の「半分」という説明を、今の相続へ使わないようにしよう。

昔に始まった相続は、法改正と判例がいつの相続へ適用されるか、既に合意や裁判で確定した関係があるか等を、一つずつ確かめる。

認知された子も、遺言、相続放棄、欠格・廃除、特別受益・寄与分等があれば、別に調べる必要がある。欠格・廃除は、一定の場合に相続権を失う制度だ。特別受益は、生前贈与等の特別な利益、寄与分は、故人の財産への特別な貢献を、取り分へ反映させる仕組みとなる。

法定相続分が同じでも、どのような事情でも、実際の受取額が同じになるわけではない。

6,000万円の例で、取り分を比べる

正一の相続人は、妻の澄江と、子の誠・陽菜だけだとする。遺言、借金、特別受益等の調整はない、説明用の例だ。

分割のための遺産の価額が6,000万円なら、法定相続分による価額は、澄江が3,000万円、誠と陽菜が各1,500万円となる。

陽菜が正一と同居していなかった、澄江や誠と会ったことがなかった、というだけで、この割合は減らない。

ただし、この額は、すぐ払われる現金でも、相続税の評価額でもない。遺産の大半が自宅なら、誰が住み、誰が取得し、代償金を用意できるかも話し合う。代償金は、遺産を多く受け取る人が、ほかの相続人へ渡す調整のお金だ。

澄江は自宅を残したい。陽菜は、評価の資料を見たいという。

誠は、二人の希望を賛成・反対だけで扱わず、登記、残高、評価、借金の一覧へ書いてから、分割案を考えることにした。

認知の方法と、成立時期を確かめる

生前の届出による認知

認知には、届出による方法がある(民法781条1項)。相続人を調べるときは、故人の出生から死亡までの戸籍、除籍、改製原戸籍等と、子の関係資料を、途切れなく確かめる。

改製原戸籍は、戸籍の作り直し前の記録だ。今の戸籍一通に記載がないだけで、認知した子はいないと決めないようにしよう。

遺言による認知

認知は、遺言でもできる(民法781条2項)。遺言の有効性、内容、遺言を実行する遺言執行者、届出等を確かめる。

財産を渡す指定と、子を認知する指定では、効果が違う。遺言へ名前が書かれているだけで、判断しないようにしよう。

裁判による認知と、死後の提訴期限

認知の訴えは、子、その子や孫等の直系卑属、またはこれらの人の法定代理人が起こせる(民法787条)。

ただし、原則として、父または母が亡くなった日から3年という期限がある。死亡を知った日から3年、とは読み替えない。

適用や例外が問題になる場合も、期限を確かめるのを待たず、早急に相談しよう。

本来の被告となる人が亡くなり、ほかに被告となる人がいない場合は、検察官を被告とする(人事訴訟法12条3項等)。民法787条が被告を決めているわけではない。

認知の時期に応じ、調停・訴訟のどの手続を使うか、親子関係と証拠も含めて確かめる。

再婚・連れ子・養子との違いは再婚した家族の相続で確認できる。同居や呼び方と法律上の関係を分けて調べる。

生前に認知された子を、協議から外した場合

陽菜のように、生前に認知されていた子が後から見つかった場合は、その人を外してした分割協議の有効性が問題になる。

必要な相続人全員の合意がないため、払戻し、登記、処分の状況まで確かめ、話合い等を見直す。

ただし、既にほかの人へ財産を移した、遺言で取得した等の事情もある。何を、どの方法で戻せるかは、別に調べる必要がある。

話合いをやり直すと言うだけで、第三者への処分まで、自動で元に戻るわけではない。

相続人を確定する前に押印や送金を急がず、認知と戸籍の資料、分割協議書、登記と入出金記録を保存する。陽菜にも同じ資料を共有し、取得希望と負担を確認する。遺産分割協議の進め方も参照する。

死後の認知なら、分割・処分の時期を見る

ここからは、前の家族例と分け、正一の死亡後に、初めて認知が成立した場合を考える。

認知の効力は出生までさかのぼるが、第三者が既に持つ権利を害することはできない(民法784条)。相続では、さらに910条による調整がある。

相続開始後の認知で相続人となった人が、分割を求めるときに、ほかの相続人が既に分割や処分をしていれば、民法910条によって、価額をお金で払うよう求める場合がある。

生前の認知を、単に見落とした場合とは違う。いつでも土地等を取り戻して、全員でやり直すとは限らない。

「認知がいつ成立したか」を先に分ける
生前の認知を、後から知った

認知 → 死亡 → 子を外して分割

↓
必要な相続人の合意を欠く協議を見直す。払戻し・登記・処分の状況も調べる。

死亡後に認知された

死亡 → ほかの相続人が分割・処分
→ 認知が成立

↓
民法910条により、価額をお金で求める場面がある。分割・処分を常にやり直すわけではない。

第三者の権利、未分割の財産、認知・処分・請求の時期等で、使う手続を確かめる。二つを同じ手順で扱わない。

最高裁の2016年2月26日判決は、910条で支払を求めるときの遺産の価額を、支払請求時を基準に算定するとした。

死亡時の残高だけで、一方的に請求額を決めないようにしよう。認知、請求、分割、処分の時期と、財産・評価の資料を整理する。

未分割と処分済みの財産が混ざる場合や、権利自体に争いがある場合もある。

どの財産について何を求めるかを、分けて考えよう。分割の話合い、お金の支払請求、税務の修正は、同じ手続ではない。

遺言があっても、遺留分と期限を調べる

子として相続人となれば、遺留分も問題となり得る(民法1042条等)。遺留分は、一定の近い家族に保障された最低限の取り分だ。

その子には渡さないと遺言へ書くだけで、遺留分侵害額の請求まで消えるわけではない。ただし、認知されれば自動で不足額が払われる、という制度でもない。

現在の遺留分侵害額請求は、金銭の請求だ。遺言による財産分けを、すべて無効にする請求とは違う。

基礎となる財産、借金等の債務、一定の贈与、本人の取得分を調べる。期限は、相続開始と侵害する贈与・遺贈を知った時から1年、死亡から10年だ(民法1048条)。

遺留分の期限と、認知の訴えの3年は別だ。

認知の手続が終わるまで、ほかの期限も自動で延びるとは考えないようにしよう。請求方法と時期を、並行して相談する。

調査中も、税の期限を確かめる

相続税の申告が必要なら、原則として、相続開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に、申告・納付する。

認知や分割の問題があっても、ほかの人の期限が一律に止まるわけではない。後から認知で相続人となった本人は、いつから数えるか等を、別に確かめる。

未分割でも、民法の相続分等によって申告・納付する。単なる仮提出として、納税を省略できるわけではない。

配偶者軽減等を未分割では使えない場合、後の分割や認知で必要となる修正申告・更正の請求について、書類と期限を税理士へ確かめよう。更正の請求は、払い過ぎた税を減らすために求める手続だ。

戸籍がそろっても、まだ確定していない認知の手続や、遺言による認知まで、必ず否定できるわけではない。

住所を探すときも、本籍と実際の住まいを分けて調べる。関係者のプライバシーに配慮し、請求資格がある資料と、適切な連絡方法を使おう。

認知・処分・請求の時期を並べる

  1. 認知がいつ、どの方法で成立したかを資料で確認する。
  2. 戸籍、遺言と手続中の認知の有無から相続関係を整理する。
  3. 未分割・分割済み・処分済みの財産と記録を区分する。
  4. 協議、910条の価額支払、遺留分、税等の期限を別々に確認する。

誠は陽菜を外した案の押印を求めるのをやめ、澄江の居住希望と陽菜の資料確認を並べて話すことにした。相続人を確認する制度は、誰かを困った存在として扱うためではなく、権利と負担のある人を手続へきちんと含めるためにある。全体は相続手続の流れで確認する。

ほかにも確認する手続がある場合は、相続人・家族関係の関連ガイドから目的に合う説明を探せる。

よくある質問

認知された子の相続分は、婚姻中の夫婦の子と違うか

現在の法定相続分に差はない。以前に開始した相続や、遺言・放棄・調整事情がある場合は個別に確認する。

父の死後に認知の訴えを起こせるか

民法787条は死後の訴えも予定するが、原則として死亡の日から3年という期限がある。死亡を知った日からと読み替えず、適用と手続を早急に確認する。

分割後に認知された子が分かったら必ず協議をやり直すか

生前の認知の見落としと、死後の認知を区別する。後者で既に分割その他の処分があれば、民法910条による価額支払の場面がある。

遺言で何も渡さないと書かれていた場合はどうなるか

子として遺留分侵害額請求が問題になり得る。基礎財産と本人の取得等、認知の訴えとは別の請求期限を確認する。

戸籍を集めれば認知の問題はすべて分かるか

連続する戸籍等は重要だが、未確定の認知手続や遺言認知まで必ず否定できるわけではない。遺言と手続の経過も確認する。

本記事は一般的な情報である。認知、協議の効力、価額の支払と税は、各時期と資料から個別に判断する。

この記事の読み方

相続の制度は、家族の状況と財産の中身で結論が変わります。

法律・税金・手続きを合わせて読む

税金の計算と、家族の合意・登記・支払資金をあわせて考えるための一般的な解説です。

個別事情で変わる点を重視

期限、特例、評価、分割方法はケースによって変わります。本文では一般的な考え方を示し、個別判断が必要な箇所は留保しています。

最終更新日

最終更新:

文章・図・表示の変更を含む。参照資料の日付や制度の適用時期は、本文で確認してください。

TOP

電話でお問い合わせ LINEで簡単お問い合わせ