相続人以外が遺贈を受けたら|受け取る手続・借金・税金

相続人以外が遺贈を受けたら|受け取る手続・借金・税金

相続人でなくても、遺言で財産を受け取れる。ただし、預金一口などを指定されたのか、遺産全体の一定割合なのかで、借金や手続の扱いが変わる。遺言があるからすぐに引き出せると考えず、まず原文と自分の立場を確認する。

伯父を見送った彩は、遺言に自分の名前があると聞いた。伯父には子がいるため、姪の彩は法定相続人ではない。「預金300万円を遺贈する」と「遺産の3分の1を遺贈する」では何が違うのか。彩と伯父の子の修司が、順番に確かめる架空の例である。

遺言の原文を確認し、手続をする人を探す

誰かが伝えた要約だけでなく、遺言の全文を確かめる。財産、受け取る人、条件、遺言執行者の指定、作成日を確認し、後の遺言がないかも調べる。自筆証書遺言等では検認が必要となる場合があり、封印のある遺言書を勝手に開けない。法務局で保管されていた自筆証書遺言や公正証書遺言は検認不要だ。

遺言執行者は、遺言の内容を実現するための仕事をする人だ。就任しているなら連絡し、必要資料と今後の手順を確かめる。指定がない場合などは、利害関係人から家庭裁判所へ選任を申し立てられる。

彩は修司に預金の振込みだけを求める前に、遺言の写しと執行者の連絡先を確認した。遺言執行者がいることと、遺言に争いが一切なくなることは同じではない。

特定の財産か、全体の割合かで違いが出る

「A銀行の預金のうち300万円」など財産を指定するものを特定遺贈、「全財産」や「遺産の3分の1」などを包括遺贈という。文言だけで迷う場合は、遺言全体の意味を確認する。

包括受遺者は、民法990条により相続人と同一の権利義務を持つ。プラスの財産だけでなく、借金を承継する問題があり、必要な遺産分割にも関わる。包括遺贈を放棄する場合は、原則として相続放棄に準じた家庭裁判所の手続と3か月の期間を確認する。

特定遺贈では、包括遺贈と同じ割合で遺産全体の借金を受け継ぐわけではない。ただし負担付きの遺贈や、担保付き不動産の取得などは別の問題がある。放棄の方法も包括遺贈と一括りにしない。

銀行や登記の窓口へ、遺贈として資料を確認する

銀行には、故人の戸籍、遺言、受遺者の本人確認、執行者の権限等を示す資料と、銀行指定の書式を確認する。法定相続人全員の合意による払戻しと、遺言に基づく手続を混同しない。必要な戸籍の範囲や原本の扱いは、遺言の種類と銀行によって確認する。

不動産では、相続人以外への遺贈と相続人への遺贈で申請方法が異なる。相続人以外の受遺者は、原則として遺言執行者または相続人側と共同で登記を申請する。相続人が受ける遺贈の単独申請の扱いを、そのまま彩に当てはめない。

取得を示す手続のほか、登記によって第三者に権利を主張できるようにする準備も必要だ。遺言の有効性に争いがある、相続人が協力しない、他人へ処分されそうという場合は、資料をそろえて早めに相談したい。

税金と費用を、受け取る前に見積もる

個人が遺贈で財産を取得すると、原則として相続税の対象になる。贈与税とは区別する。相続税の基礎控除の人数を数えるとき、相続人でない受遺者を加えるわけではない。

故人との続柄によって相続税額の2割加算があり、生命保険金等の非課税枠や相次相続控除なども、法定相続人と同じ扱いになるとは限らない。不動産では登録免許税や不動産取得税等の扱いも取得の形に応じて確認する。

彩は、受け取る予定額と、実際に振り込まれる時期、税金や手続費用を別に書き出した。修司とは遺言の実行に必要な連絡を続けつつ、借金を含める包括遺贈なのかを最初に確認する。期限のある判断を、銀行の手続が終わるまで後回しにしない。

関連する手続は、遺言書の種類は3つ|自筆・公正・秘密証書と発見後の手続からも確認できる。

よくある質問

姪ならいつも法定相続人になるか

故人に子など先順位の相続人がいれば姪は法定相続人にならない。相続人でなくても遺言による遺贈を受けることはできる。

遺贈なら借金を受け継がないか

包括遺贈では借金の承継が問題になる。特定遺贈でも負担や担保を確認する。プラスの財産だけの話と決めつけない。

遺言だけで不動産を一人で登記できるか

相続人以外が受ける遺贈は原則として共同申請となる。遺言執行者の有無と必要資料を確認する。

確認に使える資料

2026年10月21日時点の一般的な説明である。登場人物と金額は説明用の架空の例で、実際の相談事例ではない。具体的な判断は資料と事情を確認して行う。

この記事の読み方

相続の制度は、家族の状況と財産の中身で結論が変わります。

法律と税務を分けずに確認

相続税申告、相続登記、不動産処分、遺産分割が同時に動く場面を前提に、弁護士・税理士の両面から整理しています。

個別事情で変わる点を重視

期限、特例、評価、分割方法はケースによって変わります。本文では一般的な考え方を示し、個別判断が必要な箇所は留保しています。

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