遺言書の種類は3つ|自筆・公正・秘密証書と発見後の手続

遺言書の種類は3つ|自筆・公正・秘密証書と発見後の手続

普通方式の遺言3種類

  1. 自筆証書遺言:本人が原則全文・日付・氏名を自書し押印
  2. 公正証書遺言:公証人が作成し、証人2人以上が立ち会う
  3. 秘密証書遺言:内容を秘密にし、公証人・証人が存在を確認
  4. 検認の要否は方式・保管制度で異なる
  5. 方式を満たしても能力・解釈・撤回等は別に確認する

遺言書を発見したら、まず自筆証書、公正証書、秘密証書のどれかを確認します。種類により、保管先、家庭裁判所の検認、開封方法、相続手続に使う書類が異なります。

民法967条以下が普通方式の遺言を定めています。どれか一つが法的に絶対優位という制度ではなく、作成目的、本人の状況、費用、保管、紛争リスクに応じて選びます。

3種類の違い

種類 作成の中心 保管 検認
自筆証書 本人が原則として全文・日付・氏名を自書し押印 自宅等または法務局保管 原則必要。法務局保管は不要
公正証書 証人2人以上の立会い、公証人への口授・筆記等 原本は公証役場 不要
秘密証書 署名押印した証書を封印し、公証人1人・証人2人以上へ申述 本人側 必要

自筆証書遺言

民法968条は、原則として全文・日付・氏名の自書と押印を求めます。財産目録はパソコン作成や登記事項証明書・通帳コピー等を利用できますが、各葉への署名・押印が必要です。加除変更にも方式があります。

法務局の自筆証書遺言書保管制度を使うと、原本保管、相続開始後の証明書、検認不要等の利点があります。ただし法務局が遺言能力や内容の法的効果を保証する制度ではありません。制度は法務省「自筆証書遺言書保管制度」で確認します。

公正証書遺言

民法969条に基づき、公証人と証人が関与し、原本が保管されます。方式不備・紛失・改ざんのリスクを抑えやすく、検認は不要です。

それでも、遺言能力、詐欺・強迫、内容の解釈、遺留分、後の遺言との抵触等の実体的争いが一切なくなるわけではありません。「公正証書だから形式不備ゼロ」「実体的有効性も常に保証される」と断定せず、本人確認と作成時資料を整えます。

秘密証書遺言

民法970条は、証書への署名・押印、封印、公証人1人と証人2人以上の前での申述等を定めます。本文は自書でなくてもよい一方、公証人は内容を作成・確認する方式ではなく、原本も本人側で保管します。

秘密証書として方式を欠いても、自筆証書遺言の要件を満たす場合に自筆証書として効力を持ち得る規定があります。発見後は自己判断で種類を決めず、原本の状態を保全します。

発見後の動き方

  1. コピー・封筒を含め、発見時の状態を撮影・記録する
  2. 公正証書か法務局保管かを確認する
  3. 検認が必要なら被相続人の最後の住所地の家庭裁判所へ申し立てる
  4. 相続人・受遺者、財産、遺言執行者、前後の遺言を確認する
  5. 預金・登記・株式等の実行手続と税務期限を整理する

裁判所「遺言書の検認」は、検認を遺言書の状態を明確にし、偽造・変造を防止する証拠保全手続と説明しています。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

「開封してはいけない」の範囲

民法1004条3項は、封印のある遺言書を家庭裁判所で相続人または代理人の立会いなく開封してはならないと定めます。「封印のない遺言書も物理的に見ること自体が一律禁止」という条文ではありません。ただし、原本を汚損・改変せず、検認前の手続実行を避け、状態を保全します。

検認を怠ったり家庭裁判所外で封印を開封した場合の過料規定はありますが、そのことだけで遺言が当然に無効になるわけではありません。

方式と実体的効力を分ける

方式のほか、作成時の遺言能力、財産・受取人の特定、後の遺言・処分による撤回・抵触、偽造、遺留分、遺言執行を確認します。詳しくは遺言書の効力が決まる条件を参照してください。

最高裁昭和58年3月18日判決(昭和55年(オ)第973号・裁判集民事138号277頁)は、複数条項の遺言解釈について、遺言書全体、作成当時の事情、遺言者の状況等を考慮して真意を探究すべきとしました。方式違反や遺言能力を緩和した判例ではありません。

どの方式を選ぶか

  • 自筆証書:手軽さ、書き直し、保管制度利用を重視する場合
  • 公正証書:公証人関与、原本保管、検認不要を重視する場合
  • 秘密証書:内容の秘密性を重視する一方、保管・検認・内容確認の限界を許容する場合

財産の種類、家族関係、本人の健康、遺言執行、将来の変更を踏まえ、方式を選んだ後も定期的に内容を見直します。

複数の遺言書が見つかった場合

日付の新しい遺言が見つかっても、古い遺言の全部が常に無効になるわけではありません。前後の遺言が抵触する部分は後の遺言で撤回したものとみなされますが、両立する条項は併存する余地があります。各原本、封筒、日付、財産処分を一覧にします。

遺言後に対象不動産を売却した、預金口座を解約したなど、遺言内容と生前処分が抵触する場合も撤回の問題になります。遺言書だけでなく登記・取引履歴・契約書を確認します。

検認申立てで準備するもの

申立書、遺言者の出生から死亡までの戸籍、相続人の戸籍等を準備し、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申し立てます。必要書類は相続人構成により増えるため、管轄裁判所の最新案内を確認します。

検認期日に相続人全員が出席しなければ常に手続できないわけではありません。裁判所から通知された日程と、欠席時の取扱い、検認済証明書の申請を確認します。検認前でも相続税・相続放棄等の期限は別に進むため、期限管理を止めません。

作成時に残したい資料

  • 財産一覧、登記事項、口座・証券情報
  • 本人が希望を説明した面談記録
  • 判断能力に懸念がある場合の医療・介護資料
  • 受遺者・遺言執行者・証人の連絡先
  • 旧遺言の撤回と原本の処理記録
  • 保管場所と相続開始後の検索方法

公正証書遺言を選ぶ場合:公証人手数料は遺産総額だけでなく、相続人・受遺者ごとの目的価額、遺言加算、謄本、出張等で決まります。現行表による計算例は公正証書遺言の費用で確認してください。

本記事は一般的な遺言方式と発見後手続の説明です。方式、検認、遺言能力、解釈、撤回、遺留分は個別事情で変わります。原本を保全し、裁判所・法務省の最新案内と専門家の確認を併用してください。

この記事の読み方

相続の制度は、家族の状況と財産の中身で結論が変わります。

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