山林の相続税評価は、課税時期の現況と評価倍率表から、純山林・中間山林・市街地山林の区分を確認し、倍率方式または宅地比準方式で計算します。
登記上の地目だけで決めず、山林の土地と立木を分けます。市街地山林の造成費、保安林等の伐採制限、貸付け・分収林などの権利関係も確認します。
最初に課税時期の現況と評価区分を確認する
財産評価基本通達7は、土地の地目を課税時期の現況で判定するとしています。登記簿が山林でも、現況が宅地や雑種地なら、その現況に応じた評価が問題になります。
国税庁の評価倍率表の説明では、山林欄の「純」「中」「比準」「市比準」などの表示を確認できます。所在地、固定資産税評価額、地積、現況写真、公図、森林簿、伐採制限をそろえます。
純山林・中間山林・市街地山林の計算方法
財産評価基本通達45・47~49は、次の方式を定めています。
| 区分 | 基本方式 | 計算の骨格 |
|---|---|---|
| 純山林 | 倍率方式 | 固定資産税評価額 × 評価倍率 |
| 中間山林 | 倍率方式 | 固定資産税評価額 × 評価倍率 |
| 市街地山林 | 宅地比準方式または倍率方式 | 宅地とした価額から通常必要な造成費を控除して地積を乗じる。倍率が定められた地域は倍率方式 |
市街地山林だから常に大幅な造成費控除ができるわけではありません。標高差、傾斜、道路との関係、擁壁、土盛り・土止めの必要性を現地資料から確認し、その年・地域の造成費金額を使います。
立木は山林の土地と別に評価する
財産評価基本通達111以下は、森林の立木を樹種・樹齢を同じくする1団地ごとに評価し、杉・ひのき等の主要樹種について標準価額、地味級、立木度、地利級を使う方法を定めています。
山林の固定資産税評価額に立木価額まで常に含まれるという前提で計算すると、申告漏れや二重計上の原因になります。国税庁の山林・森林の立木の評価明細書で区分して確認します。
保安林・貸付け・分収林は追加確認が必要
保安林など法令上の利用・伐採制限がある山林は、通達50・123に基づく控除が問題になります。賃借権・地上権の目的となっている山林、分収林契約がある山林も、所有者が自由に利用できる山林と同じ計算ではありません。森林簿、保安林指定、契約書を確認します。
評価通達6項は「実勢価格との差」だけで自動適用されない
最高裁第三小法廷令和4年4月19日判決(令和2年(行ヒ)283号、民集76巻4号411頁)は、相続直前の借入れと不動産購入、租税負担軽減の認識・期待などの事実関係のもと、鑑定評価額による課税が平等原則に違反しないと判断しました。
この判決は山林を直接評価した事件ではなく、「取引価格より通達評価が低い」という差だけで、すべての山林に通達6項を使えるとしたものでもありません。通常は通達に沿って評価し、著しく不適当となる個別事情がある場合に別途検討します。
一般の土地評価は不動産の相続税評価、雑種地との区別は雑種地の評価も参照してください。
よくある質問
登記簿が山林なら必ず山林評価ですか
必ずではありません。土地の地目は課税時期の現況で判定するため、登記地目と現況が異なるときは現地利用を確認します。
純山林と中間山林はどう計算しますか
どちらも原則として固定資産税評価額に評価倍率を乗じる倍率方式です。適用区分と倍率は所在地の評価倍率表で確認します。
市街地山林は必ず宅地比準方式ですか
地域によって倍率方式が定められている場合があります。評価倍率表を確認してから方式を決めます。
木も土地の評価に含まれますか
森林の立木は原則として土地と別に評価します。樹種、樹齢、地積、立木度、搬出条件などを確認します。
※本記事は一般的な情報提供です。山林区分、造成費、立木、伐採制限、権利関係は現地と課税年の資料で変わるため、税理士等へ確認してください。



