遺産分割調停は、弁護士を選任せず本人が申し立て、参加することができます。ただし、相続人・遺産の範囲、評価、特別受益・寄与分、使途不明金などの争点を本人が整理する必要があります。
弁護士なしで進めるかは、相手に弁護士がいるかだけで決めません。争点の法的難しさ、証拠量、財産額、期日対応の負担、審判移行後の主張立証まで比較します。
本人申立てはできる
裁判所の遺産分割調停は、相続人の一人または数人が、他の相続人全員を相手方として申し立てる手続です。弁護士の選任は申立ての法定要件ではありません。申立先は、原則として相手方のうち一人の住所地の家庭裁判所または当事者が合意で定める家庭裁判所です。
申立手数料は被相続人一人につき収入印紙1,200円と連絡用郵便切手が基本ですが、戸籍取得、評価、鑑定、専門家相談など別の費用が生じることがあります。最新の郵便料・必要書類は申立先裁判所で確認します。
申立て前に作る4つの一覧
- 相続人一覧:戸籍で全員を確定し、住所・送達先を確認する
- 遺産目録:不動産、預金、株式等を資料と対応させる
- 争点一覧:遺産性、評価、特別受益、寄与分、分割方法を分ける
- 希望案:現物・代償・換価・共有の各案と実行可能性を示す
家庭裁判所は遺産を探し出す機関ではありません。ほかにも遺産があると主張するなら、原則として自分で裏付け資料を提出します。感情的な対立の調整はしますが、中心は現存遺産をどう分けるかです。
本人対応が難しくなりやすい場面
- 遺言の有効性、親子関係、遺産の帰属に先決争点がある
- 多額の特別受益・寄与分や使い込みを主張する
- 非上場株式、収益不動産、事業財産など評価が複雑
- 未成年者、認知症の人、行方不明者、海外居住者がいる
- 相手の主張書面へ期限内に反論・証拠提出する負担が大きい
相手方に弁護士が就いたから、こちらも必ず選任しなければならないわけではありません。ただし、相手の主張を理解できない、法的争点と感情を切り分けられない、期日準備が追いつかない場合は、途中からの依頼や期日前の単発相談も検討します。
不成立後は原則として審判へ移る
話合いがまとまらず調停が不成立になると、原則として遺産分割審判へ移り、裁判官が提出資料と調査結果に基づいて判断します。審判では、葬儀費用、相続債務、使途不明金など遺産分割の付随問題を当然に全て判断してもらえるわけではありません。
調停が成立すれば調停調書が作成されます。その内容に基づき登記や金銭支払を進められますが、「調書があるから何でも直ちに執行できる」とは限らず、条項の内容と対象手続を確認します。
弁護士へ相談する時期は相続で弁護士に相談するタイミング、特別受益の証拠は特別受益にあたらない生前贈与も参照してください。
公的資料・根拠
よくある質問
遺産分割調停に弁護士は必須ですか
必須ではなく、本人が申し立てて参加できます。争点・証拠・負担を見て、全部依頼、途中依頼、単発相談を選びます。
相手に弁護士がいれば自分も必ず依頼しますか
法的義務はありません。ただし書面の理解、反論、証拠提出、審判移行への対応が難しければ相談を検討します。
裁判所が隠された遺産を調べますか
遺産を探し出すこと自体が手続の目的ではありません。追加遺産を主張する側が、金融資料などの裏付けを提出するのが原則です。
調停が不成立ならどうなりますか
原則として審判手続へ移り、裁判官が資料と調査結果に基づいて判断します。
使途不明金も審判で解決しますか
当然に遺産分割審判の対象となるとは限りません。調停では合意に含められる場合がありますが、別訴が必要かを整理します。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。相続人、遺産、争点、管轄、手続進行、必要書類・郵便料は事案と裁判所により異なります。個別の見通しは申立先裁判所または弁護士へ確認してください。



