- 相続開始と自分が相続人になったことを知った日を記録する
- 財産・債務と既に行った行為を調べる
- 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所を確認する
- 申述書・戸籍等をそろえ、原則3か月以内に提出する
- 照会書へ事実どおり回答し、受理後の連絡・資料を保管する
相続放棄は、親族間の口約束や遺産分割協議で「何も受け取らない」と決めることとは別です。民法938条の家庭裁判所への申述が必要です。
最初に3か月の起算点を確認する
民法915条の熟慮期間は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月です。単に死亡日だけで決めず、死亡を知った日、自分が相続順位に入ったと知った日、先順位者の放棄を知った日などを資料で確認します。
調査が間に合わない場合は、期間満了前に家庭裁判所へ熟慮期間伸長を申し立てる方法があります。申立てれば自動的に認められるわけではないため、財産調査の状況と必要期間を具体化します。
財産と行為を調査する
- 預貯金、証券、不動産、保険、事業・デジタル資産
- 借入れ、保証、税金、家賃、医療費等の債務
- 死亡後の払戻し、売却、解約、支払、遺品処分の履歴
民法921条は、相続財産の処分などを法定単純承認の事由としています。保存行為等の例外はありますが、名称だけで安全とは決まりません。財産を動かす前に相続財産の保全と処分も確認してください。
管轄・費用・必要書類
裁判所の相続放棄案内では、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申し立てます。申述人1人につき収入印紙800円と、裁判所が定める連絡用郵便切手が必要です。
基本書類は相続放棄申述書、被相続人の住民票除票または戸籍附票、申述人の戸籍です。配偶者・子、直系尊属、兄弟姉妹など立場により、被相続人の出生から死亡までの戸籍、先順位者の死亡戸籍等が追加されます。裁判所の最新一覧で確認します。
提出後の照会と受理
家庭裁判所から、相続を知った経緯、財産・債務を知った時期、処分行為の有無、申述意思などを尋ねる照会書が届く場合があります。記憶だけで整えず、通知、郵便、戸籍、取引履歴と照合して回答します。
申述が受理されると、民法939条により、その相続について初めから相続人でなかったものとみなされます。次順位者へ相続が移る場合があるため、法的な通知義務とは分けつつ、連絡の要否と時期を検討します。
受理後に保管する資料
- 申述書控え、照会書と回答控え
- 受理通知書・必要に応じて取得した受理証明書
- 財産・債務の調査資料と期限の起算点を示す資料
- 債権者・後順位相続人への連絡記録
収入印紙、郵便切手、戸籍取得、専門家依頼の内訳は、相続放棄の費用で業務範囲ごとに整理しています。
よくある質問
家族に「相続しない」と伝えれば相続放棄になりますか?
なりません。民法938条により、相続放棄は家庭裁判所への申述で行います。遺産分割協議で取得をゼロにしても、債権者との関係で債務を免れる相続放棄とは別です。
相続放棄は生前にできますか?
できません。相続開始後に、自己のために相続の開始があったことを知った時から原則3か月以内に申述します。生前は財産・債務の調査や遺言等の準備を検討します。
兄弟全員で一つの申述書を出せますか?
申述は相続人ごとに判断・手続をします。複数人が同時期に進める場合でも、各人の申述書、戸籍関係、期限の起算点を確認します。
申述受理証明書は自動で届きますか?
受理通知書と受理証明書は用途が異なります。金融機関・債権者等から証明書を求められる場合は、家庭裁判所の案内に沿って別途申請します。
本記事は一般的な制度の説明です。熟慮期間の起算点、法定単純承認、必要書類、申述受理後の争いは個別事情で変わります。期限が迫る場合は、管轄の家庭裁判所または弁護士へ直ちに確認してください。



