相続人のあることが明らかでない場合、家庭裁判所が相続財産清算人を選任し、相続人の捜索、債権者等への弁済、特別縁故者への分与を経て、残余財産が国庫へ帰属します。
遺産が直ちに国のものになるわけではありません。2023年4月施行の改正後は、公告手続と条文番号が旧制度から変わっています。
相続人がいないときの流れ
民法951条以下が清算手続を定めています。相続人が最初から見当たらない場合だけでなく、相続人全員が相続放棄をした結果、相続する人がいなくなった場合も対象になります。
- 利害関係人または検察官が家庭裁判所へ相続財産清算人の選任を申し立てる
- 家庭裁判所が選任と相続人捜索を6か月以上の期間で公告する(民法952条2項)
- 清算人が債権者・受遺者へ2か月以上の請求申出期間を公告する(民法957条1項)
- 債務の弁済などを行い、相続人が現れなければ不存在が確定する
- 公告期間満了後3か月以内に特別縁故者の分与申立てがあり得る(民法958条の2)
- 残った財産が国庫へ帰属する(民法959条)
裁判所の家事事件Q&Aも、改正後の6か月・2か月・3か月の関係を案内しています。
相続財産清算人は誰が申し立てるか
申立人は、債権者、特定受遺者、特別縁故者候補などの利害関係人または検察官です。管轄は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所です。裁判所の相続財産清算人選任案内で、費用と戸籍等の必要書類を確認できます。財産が少ない場合には、申立人に予納金の納付を求められることがあります。
特別縁故者は自動的に財産を取得しない
被相続人と生計を同じくしていた人、療養看護に努めた人などは、家庭裁判所が相当と認める場合に、清算後に残る財産の全部または一部の分与を受ける可能性があります。ただし、法定相続人になる制度ではなく、自動取得でもありません。
申立期間は、民法952条2項の相続人捜索公告期間が満了した後3か月以内です。清算人や裁判所から個別に期限を知らせてもらえるとは限らないため、自分で官報や事件の進行を確認します。
共有持分と国庫帰属には別の論点がある
被相続人が不動産の共有持分を持っていた場合には、特別縁故者への分与や民法255条との関係が問題になります。「相続人がいないから直ちに他の共有者のものになる」とは限りません。財産の種類、債務、遺言、共有関係を確認してから手続を選びます。
相続人の範囲は法定相続人の範囲と順位、行方不明者がいる場合は不在者財産管理人と失踪宣告を参照してください。
よくある質問
相続人が全員放棄すると直ちに国庫へ行きますか
直ちには国庫へ行きません。清算人の選任、公告、債権者等への弁済、特別縁故者への分与の機会を経ます。
特別縁故者の条文は民法958条の3ですか
現行法では民法958条の2です。2023年4月施行の改正前資料には旧条文番号が残っているため注意が必要です。
特別縁故者の申立期限はいつですか
相続人捜索公告の期間満了後3か月以内です。死亡から3か月ではありません。
行方不明の相続人がいる場合も相続人不存在ですか
同じではありません。相続人の存在は分かっているため、不在者財産管理人や失踪宣告など別の手続を検討します。
※本記事は一般的な情報提供です。相続人調査、公告期限、予納金、共有持分の処理は個別事件で異なるため、管轄家庭裁判所・専門家へ確認してください。



