外国人が相続人の場合の必要書類|戸籍の代替・相続手続き

外国人・海外居住者が相続人の場合|準拠法・必要書類・遺産分割

外国人・海外居住者を含む相続の確認順序

  1. 被相続人の国籍と最後の住所を確認する
  2. 適用される相続法と相続人の範囲を確定する
  3. 各相続人の国籍・住所・連絡先を整理する
  4. 提出先ごとに身分・住所・署名の証明書を確認する
  5. 翻訳、認証、郵送期間を見込んで登記・税務の期限を管理する

相続人が外国籍、または海外に住んでいるだけで、相続権が当然になくなるわけではありません。ただし、どの国の相続法が適用されるか、相続人を何の書類で証明するか、遺産分割協議書の署名をどう証明するかは別々の問題です。

「外国人でも日本人と全く同じ」「全員が同じ印鑑証明書を出す」と決めつけず、被相続人の国籍、相続人の国籍・居住地、財産の所在地、提出先を一枚の表にします。

最初に準拠法を確認する

法の適用に関する通則法36条は、相続は被相続人の本国法によると定めています。相続人の国籍だけで日本法が適用されるかを決める条文ではありません。

被相続人が日本国籍なら、相続人に外国籍・海外居住者がいても、日本法を前提に相続人の範囲や遺産分割を整理するのが基本です。被相続人が外国籍なら、その本国の相続法と国際私法を確認し、同法41条の反致により日本法へ戻る場合があるかも検討します。外国法の内容を確認せず、日本の法定相続人・相続分をそのまま当てはめません。

遺産分割は「本人の出席」だけが参加方法ではない

日本法が適用される場合、民法907条に基づく遺産分割協議は、共同相続人の合意で行います。相続人の一人を無視して他の人だけで協議書を作ることはできません。

一方、「全員が同じ場所へ集まらなければならない」「本人が署名できないと永久に分割できない」という意味ではありません。書面のやり取りや適法な代理のほか、行方不明者には不在者財産管理人、意思能力を欠く人には成年後見人等、利益相反があれば特別代理人を検討します。相続放棄が受理された人は初めから相続人でなかったものと扱われるため、相続人の範囲を先に確定します。

裁判所の案内によれば、不在者財産管理人が不在者に代わって遺産分割協議をするには、通常の保存権限を超えるため家庭裁判所の権限外行為許可が必要です。

海外居住の日本人は在留証明・署名証明を確認する

日本に住民登録がない日本人は、印鑑登録証明書や住民票を取得できないことがあります。外務省の在外公館における証明案内は、海外居住の日本人向けに、住所を証明する在留証明と、印鑑証明に代わる署名証明を案内しています。

署名証明には、遺産分割協議書等と綴り合わせる形式と署名だけを証明する形式があります。どちらが必要かは法務局、金融機関、証券会社等の提出先へ先に確認します。領事の面前で署名する形式では、事前に署名しないなど申請上の注意があります。

外国籍者の書類は国と提出先で変わる

外国籍者には、日本の戸籍・住民票・印鑑登録証明書がない場合があります。そのときは、本国・居住国の出生証明、婚姻証明、死亡証明、家族関係証明、住所証明、公証人による署名証明、宣誓供述書等を組み合わせることがあります。

ただし、必要書類の名称、発行機関、認証・アポスティーユの要否は国と提出先で異なります。外務省の署名証明は原則として海外居住の日本人向けであり、外国籍者が常に日本の在外公館で同じ証明を取得できるわけではありません。外国籍者は現地の公証人等の証明を使う場合があるため、署名前に提出先へ確認します。

外国語の証明書には日本語訳を求められることがあります。原文と訳文の対応、翻訳者の表示、氏名表記の揺れ、旧姓、日付の表記を照合し、旅券と各証明書が同一人物を示すことが分かる資料を残します。

不動産・預貯金・税務で受付条件を分ける

法務省の外国人・海外居住者向け登記案内は、日本国内の不動産を相続した外国人・海外居住者も相続登記義務の対象になると案内しています。原則3年の期限を、書類取り寄せ中という理由だけで止められる制度ではありません。

金融機関は、相続関係の証明、本人確認、住所、署名、送金先、税務上の居住地について独自の確認書類を求めることがあります。一行の受付例を他行へ当然に流用せず、書類の有効期間、原本返却、郵送方法を確認します。

相続税の納税義務の範囲は、被相続人・取得者の住所、国籍、過去の居住状況、財産所在地等で変わります。「海外居住なら日本の相続税はかからない」とは限りません。申告期限は原則10か月なので、準拠法・相続人確定と並行して税理士へ確認します。

手続を止めない実務チェック

  • 被相続人と相続人全員の国籍・住所・過去の氏名
  • 遺言、相続放棄、欠格・廃除、代理・後見の有無
  • 財産の国、種類、名義、提出先、期限
  • 原本・翻訳・認証・アポスティーユの要否
  • 署名する場所、証明方法、郵送日数、原本返却
  • 相続登記、相続税、現地税務の担当者

相続人の確認全体は法定相続人の範囲、協議から相続人が漏れた場合は遺産分割協議が無効になるケースも参照してください。

よくある質問

外国籍の相続人には相続権がありませんか?

国籍だけで当然に相続権を失うわけではありません。まず被相続人の本国法と相続人の範囲を確認します。

海外の相続人は日本へ来なければ協議できませんか?

同じ場所へ集まることは必須ではありません。書面や適法な代理等を使えますが、本人確認・署名証明を提出先へ確認します。

外国籍者も日本領事館で署名証明を取れますか?

外務省の一般的な署名証明は日本国籍者向けです。外国籍者は現地公証人等の証明を用いる場合があるため、提出先へ確認します。

相続人が行方不明なら除外できますか?

除外できません。不在者財産管理人の選任と、遺産分割についての権限外行為許可等を検討します。

海外居住者には相続登記の3年義務がありませんか?

法務省は外国人・海外居住者も日本国内不動産の相続登記義務の対象と案内しています。

本記事は2026年8月27日現在の一般的な説明です。準拠法、外国法、必要書類、認証、税務は国籍・居住地・財産・提出先で変わります。署名前に法務局、金融機関、在外公館、弁護士・司法書士・税理士等へ確認してください。

この記事の読み方

相続の制度は、家族の状況と財産の中身で結論が変わります。

法律と税務を分けずに確認

相続税申告、相続登記、不動産処分、遺産分割が同時に動く場面を前提に、弁護士・税理士の両面から整理しています。

個別事情で変わる点を重視

期限、特例、評価、分割方法はケースによって変わります。本文では一般的な考え方を示し、個別判断が必要な箇所は留保しています。

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