ゴルフ会員権の相続税評価|取引相場・預託金・プレー権の計算

ゴルフ会員権の相続税評価|取引相場・預託金・プレー権の計算

ゴルフ会員権の相続税評価は、相続開始時の会員権を、取引相場の有無、株式の有無、預託金の有無・返還時期に分け、財産評価基本通達211に従って行います。

取引相場のある会員権は通常の取引価格の70%が基本ですが、取引価格に含まれない預託金等を加算することがあります。取引相場のない会員権は、一律に70%を掛けるのではありません。

まず会員権の内容と相続開始時の状態を確認する

相続税法22条は、特別の定めがある場合を除き、相続で取得した財産を取得時の時価で評価します。ゴルフ会員権は名称だけでは計算できません。会員権証書、入会契約、会則、預託金証書、株券、年会費の明細、運営会社からの通知を集めます。

相続開始時に、譲渡可能か、取引相場があるか、株主であることが会員資格の条件か、預託金の返還を受けられるか、返還時期はいつかを確認します。名義変更の可否や退会手続は会則・契約の問題であり、税務評価と同じ結論になるとは限りません。

取引相場のある会員権は「通常の取引価格×70%」が基本

国税庁の財産評価基本通達211は、取引相場のある会員権を、課税時期における通常の取引価格の70%で評価すると定めています。ここでいう課税時期は、相続の場合、被相続人の死亡日です。現在の売値や購入時の価格ではありません。

一つの業者の表示価格だけで決めず、相続開始日前後の売買相場、複数業者の気配、成約情報、名義書換停止の有無などを資料として残します。東京地裁平成16年12月16日判決と東京高裁平成17年5月18日判決は、取引事例や参考相場があっても、特定業者の個別判断を超えた一般性のある相場が形成されていなければ「取引相場がある」とは認められないとした事例です。

取引価格に含まれない預託金等は加算する

取引価格に含まれない預託金等があり、課税時期に直ちに返還を受けられる場合は、会則等に基づく返還額を加算します。一定期間後に返還を受けられる場合は、返還を受けられる金額を、その日までの期間に応じた基準年利率で複利現価にした額を加算します。

「預託金の額面を必ず全額加える」「経営状態が悪ければ必ずゼロ」という処理はできません。返還請求権の有無、据置期間、条件変更、民事再生等の状況を契約と客観資料で確認します。

取引相場のない会員権は三つに分ける

会員権の類型 評価の基本
株主でなければ会員になれない 取引相場のない株式の評価方法で算定した株式価額
株主かつ預託金の預託が必要 株式価額と、返還時期に応じて評価した預託金等の合計
預託金の預託が必要 返還時期に応じて評価した預託金等

株式の所有を必要とせず、譲渡できず、返還される預託金等もなく、単に施設でプレーできるだけの会員権は、通達211では評価しません。したがって、「ゴルフ会員権はすべて相場の70%」「証書があれば必ず課税価格がある」という説明は正確ではありません。

預託金返還請求権の現在価値を認めた裁判例

東京地裁平成16年12月16日判決と、その控訴審である東京高裁平成17年5月18日判決は、取引相場のないゴルフ会員権について、少なくとも預託金返還請求権の現在価値に相当する財産的価値があるとして評価した事例です。

これらは、すべての会員権を同じ金額で評価する判例ではありません。会員権の契約内容、預託金の返還条件、相場の一般性を個別に見ています。国税庁の通達による画一的評価と、通達評価が客観的交換価値から著しく離れる特別な事情の有無も区別します。

申告までの確認手順

  1. 証書、契約書、会則、年会費資料からゴルフ場と運営会社を特定する
  2. 相続開始時の会員資格、譲渡・名義書換、退会、預託金返還条件を照会する
  3. 取引相場の有無と、相場に預託金等が含まれるかを確認する
  4. 取引相場がなければ、株式と預託金の有無を分けて評価する
  5. 照会書、相場表、計算根拠を保存し、財産目録と相続税申告に反映する
  6. 承継、売却、退会の手続と、相続人間の帰属を別途決める

名義変更・退会・売却はゴルフ会員権を相続したときの手続、一般的な財産調査は相続手続の流れも参照してください。

公的資料・判例

よくある質問

取引相場のあるゴルフ会員権はいくらで評価しますか

相続開始時における通常の取引価格の70%が基本です。取引価格に含まれない預託金等があれば、返還時期に応じて評価した額を加えることがあります。

取引相場がなければ価値はゼロですか

一律にゼロではありません。株式の価額、預託金等の返還額・複利現価を、会員権の類型に応じて評価します。

単にプレーできるだけの会員権も評価しますか

株式が不要で、譲渡できず、返還される預託金等もない単なるプレー権は、財産評価基本通達211では評価しません。

購入時の金額を使えばよいですか

購入時ではなく、原則として相続開始時の通常の取引価格や返還請求権等を基に評価します。相場表や運営会社の回答を保存します。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。会則、取引相場、株式・預託金、返還条件、運営会社の状況により評価は異なります。税理士、運営会社等へ確認してください。

この記事の読み方

相続の制度は、家族の状況と財産の中身で結論が変わります。

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