遺言書の探し方|公証役場・法務局・自宅の確認と発見後の検認

遺言書の探し方|公証役場・法務局・自宅の確認と発見後の検認

遺言書が見つからないときは、自宅等の現物、公正証書遺言の検索、法務局保管の自筆証書遺言、専門家や貸金庫などの保管先を区別して確認します。公証役場と法務局は別の制度です。

発見した遺言書が封印されていれば自分で開封せず、家庭裁判所の検認が必要かを確認します。検認は遺言書の状態を保存する手続であり、遺言の有効性を確定する手続ではありません。

最初に確認する四つの経路

確認先 主に探すもの 確認方法
自宅・書類保管場所 自筆証書遺言、秘密証書遺言、保管証・遺言公正証書の謄本 重要書類、金庫、机、書斎、デジタルメモを記録を残しながら確認
公証役場 公正証書遺言の有無と保管公証役場 相続人等の利害関係人が必要書類を示して遺言検索を申し出る
法務局 自筆証書遺言書保管制度を利用した遺言 遺言書保管事実証明書、存在が判明した後は遺言書情報証明書を請求
関係先 預けられた遺言書や手掛かり 貸金庫、弁護士・司法書士・税理士、信託銀行等との取引資料を確認

遺品整理を終えてから照会するのではなく、重要書類の位置と照会結果を一覧にします。遺産分割を始めた後に別の遺言が判明すると、協議や登記、税務処理を見直すことがあるためです。

公正証書遺言は全国の公証役場で検索する

日本公証人連合会は、平成元年以降に作成された遺言公正証書の情報を管理しています。遺言者の死亡後は、相続人等の利害関係人が、全国の公証役場で遺言の有無と原本を保管する公証役場を検索できます。検索の申出自体は無料です。

通常、遺言者の死亡を示す除籍謄本等、申出人が相続人であることを示す戸籍、本人確認書類を用意します。検索結果で分かるのは、遺言の有無や保管公証役場等です。内容を確認するには、原本を保管する公証役場に謄本等を請求します。公正証書遺言には家庭裁判所の検認は不要です。

法務局保管の遺言は証明書で確認する

法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用したか分からない場合、相続人等は遺言書保管事実証明書を請求できます。保管されていることが分かった後は、遺言書の画像情報を含む遺言書情報証明書を請求し、内容を確認します。

法務局に保管された自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認が不要です。ただし、法務局は保管申請時に遺言内容の有効性まで保証するものではありません。「法務局に保管されているから、内容も必ず有効」とは断定できません。

自宅等で見つけた遺言は開封前に種類を確認する

民法1004条は、遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人に、相続開始を知った後、遅滞なく家庭裁判所へ提出して検認を請求するよう求めています。公正証書遺言と、法務局保管制度を利用した自筆証書遺言は例外です。

封印された遺言書は、家庭裁判所で相続人または代理人の立会いのもと開封します。誤って開封したことだけで当然に遺言が無効になるわけではありませんが、状態保存と紛争予防のため、発見時の状態を撮影し、封を切らずに手続を確認します。

検認は有効性を確定する手続ではない

裁判所は、検認を、相続人に遺言書の存在・内容を知らせ、形状、加除訂正、日付、署名等を明確にして、後日の偽造・変造を防止する手続と説明しています。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

福岡高等裁判所昭和38年4月24日決定も、検認を遺言書の状態を確認して保存を確実にする検証手続とし、遺言内容の真否や法律上の効力を判断する審判ではないとしました。検認済証明書が付いていても、遺言能力、方式、偽造などを別の訴訟で争う余地があります。

複数の遺言が見つかったとき

新しい日付の遺言が常に古い遺言全体を消すわけではありません。民法1023条は、前の遺言が後の遺言と抵触するとき、その抵触部分を後の遺言で撤回したものとみなします。遺言の日付、方式、対象財産、受遺者、遺言執行者を並べ、両立する部分と抵触する部分を分けて確認します。

発見後に動く順番

  1. 発見場所、封印、外観を撮影し、原本を安全に保管する
  2. 公正証書、法務局保管、自宅保管の自筆証書、秘密証書の別を確認する
  3. 検認が必要なら、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申し立てる
  4. 相続人、受遺者、遺言執行者、対象財産を照合する
  5. 相続放棄、相続税申告、登記等の期限を別に管理する

検認の申立方法は遺言書の検認手続、遺言の方式は遺言書の種類、内容に疑いがある場合は遺言書の偽造が疑われる場合も参照してください。

公的資料・判例

よくある質問

公正証書遺言はどこで検索できますか

遺言者の死亡後、相続人等の利害関係人は、必要書類を示して全国の公証役場で平成元年以降の遺言公正証書の有無と保管公証役場を検索できます。内容確認には別途謄本等の請求が必要です。

法務局に遺言があるか分からない場合はどうしますか

相続人等が遺言書保管事実証明書を請求します。保管が判明した後は、遺言書情報証明書で画像情報を含む内容を確認します。

検認を受ければ遺言は有効になりますか

なりません。検認は遺言書の状態を確認・保存し、偽造・変造を防止する手続であり、有効・無効を判断する手続ではありません。

封印された遺言書を開けてしまうと無効ですか

開封だけで当然に無効となるわけではありません。ただし、封印された遺言は家庭裁判所で開封する決まりがあるため、自分で開けずに検認手続を確認します。

複数の遺言は新しいものだけが有効ですか

新しい遺言が古い遺言全体を当然に消すとは限りません。民法1023条により、抵触する部分が後の遺言によって撤回されたものとして整理されます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。遺言の方式、保管状況、複数遺言の抵触、遺言能力等により判断は異なります。家庭裁判所、公証役場、法務局、弁護士等へ確認してください。

この記事の読み方

相続の制度は、家族の状況と財産の中身で結論が変わります。

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