遺言書の探し方|公証役場・法務局・自宅の確認と発見後の検認

遺言書の探し方|公証役場・法務局・自宅の確認と発見後の検認

遺言を探すときは、公証役場、法務局、自宅、契約先を分けて調べよう。照会した日と回答も残す。一つの検索で見つからなくても、遺言が全くないとは限らない。

以下の人物・金額は、説明用となる。

父が遺言を作ったと話していたのに、長女の千晶が実家を探しても見つからない。兄の貴司は、預かっているかもしれないと言う。まだ原本は確認できていない。

母の和枝は、銀行の手続も進められずに困っていた。ここからは、遺言の所在を調べる架空の家族だ。

公証役場では、公正証書遺言の有無と、原本を保管する役場を探す。法務局の証明書は、同局での保管や内容を確かめるために使う。

千晶は、貴司を疑う結論を先に出さず、どの原本を誰が確認できたかを、一覧にすることにした。

最初は4つの経路から所在を確認する

確認先 探すもの・利用する方法
自宅・重要書類の保管先 遺言書の原本、封筒、公正証書の謄本、法務局の保管証、作成先を示すメモ。
公証役場 公正証書遺言の有無と、原本を保管している公証役場の検索。
法務局 自筆証書遺言書保管制度の利用を、保管事実証明書等で確認。
金融機関・専門家等 貸金庫や遺言作成・保管に関する契約、請求書、連絡先、預り証。

遺品を片付ける前に、金庫、机、書斎、通帳や保険証券と一緒の書類を探そう。

写真は、本文だけでなく、封筒、同封物、見つけた場所も残す。デジタルメモも手掛かりになる。ただし、画面の文書が、そのまま有効な遺言の原本とは限らない。

貸金庫は、鍵さえあれば自由に開けられるとは限らない。金融機関の相続手続が必要となる。

父名義の契約書や支払履歴から、保管先を探そう。必要書類と立会いの扱いも、金融機関へ確かめる。

公正証書は、近くの公証役場で探す

1989年(平成元年)以降の公正証書遺言は、日本公証人連合会が情報を管理している。全国の公証役場で、有無と保管先を検索できる。

作成した役場が分からなくても、近くの役場へ相談しよう。検索の申出そのものは、無料だ。

本人が亡くなった後の申出は、相続人等の利害関係人が行う。相続人が申し出るなら、通常は次の資料を準備する。

  • 遺言者の死亡を示す除籍謄本等。
  • 申出人が相続人であることを示す戸籍謄本。
  • 顔写真付きの公的身分証明書等の本人確認資料。

本人確認の方法として実印と印鑑登録証明書を用いる場合、日公連の案内は発行後3か月以内の証明書としている。具体的な準備は日本公証人連合会の検索案内と申出先へ確認する。

所在が分かったら、原本を保管する公証役場へ、内容を記した謄本等を請求する。

検索は無料でも、証明書等の取得費は別だ。1989年より前に作った可能性があれば、当時の資料や作成先の手掛かりも、伝えて相談しよう。

なお、遺言者が生きている間の検索申出は本人に限られる。家族だからという理由だけで、生前に内容を自由に調べられる制度ではない。

法務局の二つの証明書を分ける

法務局へ預けたかが分からなければ、遺言書保管事実証明書を請求する。

相続人なら、その遺言者の遺言が保管されているかを確かめられる。相続人以外なら、自分を受遺者や遺言執行者等とする遺言があるかの確認となる。受遺者は、遺言で財産を受け取る人だ。

内容を確かめ、相続手続に使うのは、遺言書情報証明書だ。遺言の画像情報も含まれる。

法務局の原本は、死亡後に相続人が返してもらうものではない。原本の代わりに、この証明書を使う。

公的手数料は、保管事実証明書が1通800円、情報証明書が1通1,400円となる。

法務局の証明書は、目的で選ぶ
預けたかを知りたい

遺言書保管事実証明書
1通 800円

確認できる範囲は、相続人か、それ以外かで違う。

内容を確かめ、手続に使いたい

遺言書情報証明書
1通 1,400円

遺言の画像を含み、法務局保管の原本に代えて使う。

両方を1通ずつ取る仮定なら、計2,200円。保管先等が分かり、情報証明書を直接請求できる場合もあるため、必ず二つ取る順序ではない。戸籍・郵送・依頼費は別だ。

両方の証明書は、全国の遺言書保管所へ郵送または来庁で請求できる。来庁は予約が必要で、郵送の場合は返信用封筒等を準備する。

相続人関係や受け取った通知の種類により添付書類が変わるため、法務省の相続人等向け手続案内に沿って確認する。

保管所や保管番号が既に分かるなら、情報証明書を直接請求できるかを確かめよう。有無を調べ直す段階が、常に必要なわけではない。

似た名前でも、載る情報と使う目的が違う。

千晶が両方を1通ずつ取るなら、公的手数料は800円+1,400円=2,200円だ。

ただし、所在が分かり、情報証明書を直接取れる場合まで、二つを必ず取るわけではない。戸籍、郵送、専門家への依頼費は、別にかかる。

2,200円は、証明書を取る仮の組合せだ。相続税や、受け取る財産の金額ではない。

和枝は、何のために、どの証明書を取るかを確かめてから、支出することにした。

法務局から通知が来るまで待つ必要はない

通知には、本人が指定した人への通知と、相続人等の閲覧・情報証明書の取得をきっかけに、ほかの相続人等へ行う通知がある。条件はそれぞれ違う。

亡くなれば、全相続人へ直ちに遺言全文が届く、という仕組みではない。

通知が届いていないことだけで、保管遺言がないとは判断できない。

存在が気になる場合は、自分が請求できる立場かを確認して、証明書の請求を進める。通知の条件は法務省の通知制度案内にまとめられている。

封印のある遺言は、そのまま残す

自宅等で見つけた自筆証書や秘密証書は、原則として家庭裁判所の検認が必要だ。

封印がある遺言は、家庭裁判所で、相続人等の立会いの下に開封する。自分で封を切ったり、書き足したり、消したりしないようにしよう。

誤って開けたことだけで、自動で無効になるわけではない。

ただし、過料の問題や、発見時の状態を説明しにくくなる問題がある。開けた後も捨てず、誰がいつ開けたかを記録し、裁判所の案内に従って検認を申し立てよう。

封印がなくても、原本を傷めず保管し、検認が必要かを確かめる。

公正証書遺言と、法務局保管の遺言について交付される情報証明書は、検認不要だ。

検認だけで、有効性は確定しない

検認は、遺言の存在・内容を相続人へ知らせ、日付、署名、訂正等の状態を明らかにする手続だ。

作成時の能力、本人が書いたか、内容が有効かを、最終判断するものではない。

申立先は遺言者の最後の住所地の家庭裁判所となる。

申立書、出生から死亡までの戸籍、相続人の戸籍等を準備し、遺言書1通につき800円の収入印紙と連絡費用等を用意する。申立人以外の相続人全員が出席しなければ進まないわけではない。詳細は裁判所の検認手続案内で確認する。

複数見つかった場合は、すべての原本を比較する

新しい日付の遺言を見つけても、古いものを捨てないようにしよう。

前後の内容が両立しない部分は、後の遺言で撤回された扱いになる。一方、両立する条項は残ることがある。公正証書なら、ほかの方式より必ず優先する、という決まりでもない。

日付、方式、対象財産、受取人、遺言執行者、保管場所を一覧にする。

遺言作成後に不動産を売却した、受取人が先に死亡したなどの事情も合わせて確認する。内容の疑問は遺言書の効力、作成者への疑いは偽造が疑われたときの対応も参考になる。

貴司の保管物が見つかったら、作成日と全文を、ほかの書面と読み合わせる。

兄の紙が一番新しいらしい、という伝聞だけで決めない。銀行や登記へ何を出したか、既に進んだ手続も調べ、記録を残そう。

和枝の手元の謄本と、公証役場や法務局から取る証明書は、目的や、原本との関係が違う。

検認が必要かは、見つけた場所だけで決めず、遺言の方式と保管制度から判断する。

調査と期限管理を並行して進める

探している間も、相続放棄、税の申告、登記の期限は、別に進む。

照会日、回答、次に要る書類を残し、期限の近い手続を先に整理しよう。遺言がないと完全に証明できるまで、すべての準備を止める必要はない。

遺産分割後に見つかったら、遺言の有効性、分割に関わった人、払戻し・登記・売却済みかを調べる。

協議が必ず全部無効、いつでもそのままでよい、とは決めない。資料を示し、対応を検討しよう。

千晶たちは、公証役場の検索、法務局の請求、実家で探した場所、貴司の保管物を一覧にした。

未回答の照会は残し、銀行や税の準備も進める。原本を見つけた後も、内容の効力と、財産を移す手続を順に確かめることにした。

ほかにも確認する手続がある場合は、遺言の作成・解釈・執行の関連ガイドから目的に合う説明を探せる。

よくある質問

どの公証役場で作ったか分からなくても探せるか

1989年以降の公正証書遺言は、相続人等の利害関係人が全国の公証役場で有無と保管先の検索を申し出られる。検索自体は無料で、必要書類を準備する。

法務局に遺言があるか分からないときはどうするか

保管事実証明書で有無を確認し、内容が必要なら遺言書情報証明書を請求する。請求者の立場で確認できる範囲と添付書類が変わる。

通知が来なければ法務局には預けていないか

通知には実施条件があるため、届かないだけでは判断できない。自分が請求できる立場かを確認し、保管事実証明書等で調べる。

封印された遺言を開けてしまったら無効か

開封だけで自動的に無効になるわけではない。状態を変えず保管し、開封の経緯を記録して、必要な検認手続を確認する。

最新の遺言だけ残せばよいか

古い遺言も保全する。新旧の内容が抵触する部分と、両立して残る部分を比較する必要がある。

本記事は一般的な情報を示すものである。具体的な手続や税務は、亡くなった日、財産、資料などを確認して判断する必要がある。

この記事の読み方

相続の制度は、家族の状況と財産の中身で結論が変わります。

法律・税金・手続きを合わせて読む

税金の計算と、家族の合意・登記・支払資金をあわせて考えるための一般的な解説です。

個別事情で変わる点を重視

期限、特例、評価、分割方法はケースによって変わります。本文では一般的な考え方を示し、個別判断が必要な箇所は留保しています。

最終更新日

最終更新:

文章・図・表示の変更を含む。参照資料の日付や制度の適用時期は、本文で確認してください。

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