相続税の無申告に気づいたら。期限後申告・加算税・納付を確認

相続税の無申告に気づいたら|加算税・期限後申告・納付相談

相続税の無申告に気づいたら、申告する義務があるか、期限はいつだったか、税務署からどんな連絡が来たかを確かめよう。期限を過ぎても、必要な手続は残る。申告と納付の予定を、一緒に立てることが大切だ。

架空の家族で考えよう。父を亡くした奈保は、母の光代の生活を支えながら、弟の修平と実家の分け方を話し合っていた。話が決まらないうちに10か月が過ぎ、奈保は「分けていないから申告できない」と思っていた。修平も、今すぐ払える預金が少ないため、税務署への連絡をためらっている。

この家族では、分割の遅れと申告・納付の期限を切り離して考える必要がある。申告しなかったことと、財産を隠したことも同じではない。現在の状態を正確に伝え、これから必要な手続を確認したい。

税額ゼロと、申告不要は同じ意味ではない

相続税の基礎控除は、3,000万円に、法定相続人一人につき600万円を足して計算する。法定相続人は、法律で相続人になると決められた人だ。

課税価格の合計が控除以下で、ほかに申告が必要な事情もなければ、通常は申告不要となる。ただし、預金だけを見て判断しない。

不動産、証券、現金、保険金などに加え、一定の生前贈与の加算や相続時精算課税、家族名義の財産の持ち主も確認する。父の財産を家族名義の口座へ移しただけで、自動的に父の財産ではなくなるわけではない。

光代が配偶者の税額軽減を使えば税額がゼロになる場合でも、使うための申告と資料が必要である。小規模宅地等の特例を使って基礎控除以下となる場合も同様で、「税額が出なさそう」という家族の予想だけで手続を終えない。

申告義務の確認では、法定相続人の人数にも放棄や養子について税法独自の扱いがある。家族の人数をそのまま式へ入れる前に、戸籍と税法の数え方を確認する。

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分割協議が終わらなくても10か月の期限は来る

申告・納付の期限は、通常、相続が始まったことを知った日の翌日から10か月以内だ。1月10日の死亡をその日に知った単純な例なら、通常は11月10日となる。

期限が土日祝日等に当たる場合は、翌開庁日への調整も確認しよう。

遺産の分割が終わらなくても、法定相続分や、遺言で遺産の一定割合を受け取る包括遺贈の割合等に従って、申告・納付する仕組みがある。

話合いが続いているというだけで、税務署が提出を待ってくれるわけではない。奈保が実家を受け取るか未定でも、税務の作業は別に進める必要があった。

未分割の財産には、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を、原則として使えない。

後で分割して使うためには、分割見込書等と、分割後に税額を減らす更正の請求等の条件を確認する。既に期限を過ぎているなら、今から使える特例と必要な資料を、個別に確かめよう。

相続税とは別に、父の所得について準確定申告が必要な場合もある。通常は相続が始まったと知った日の翌日から4か月以内であり、相続税の申告をすれば自動的にそちらも済むわけではない。

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分割の検討は遺産の把握と分割方法、手続の関係は相続手続の全体の流れでも整理している。

無申告と重加算税を区別し、資料はそのまま残す

重加算税は、税の計算の基になる事実を隠したり、事実と違うように装ったりし、それに基づいて申告しない場合等に問題になる。

無申告加算税に代えてかかる基本の割合は、対象となる部分の40%だ。少なく申告した場合の35%とは区分が違い、一定の場合には、さらに加重される。

期限を忘れたこと、評価を誤ったこと、家族名義の預金が誰のものかに見解の違いがあることだけで、自動的に重加算税が決まるわけではない。反対に、税理士へ現金の存在を隠したり、事実と違う契約書を作ったりすれば、別の問題が生じる。

奈保は、母から聞いた事情と、まだ裏付けのない記憶を分けて一覧にした。父の口座の出金を説明できない場合も、分からないと伝えて追加資料を調べる。筋の通った話を後から作ることが、申告の準備ではない。

詳しい区分は相続税の重加算税を参照できる。

延滞税は、申告書の提出だけでは止まらない

延滞税は、原則として法定納期限の翌日から、実際に納めた日までの日数と、未納の本税に応じて計算する。

期間や年によって率が異なり、計算から除く期間の特例等もある。同じ率の複利で、際限なく増えるというものではない。

期限後申告の本税は、原則として申告書を出した日が納期限だ。申告だけ済ませ、支払日は自由に選べるわけではない。

お金が足りなければ、申告の準備と同時に税務署へ納付を相談しよう。既に期限を過ぎているため、延納や猶予等を利用できるかも含め、条件と期限を確認する。

修平の「預金ができるまで待つ」という案は、申告を遅らせる問題も残す。奈保たちは、今払える金額、今後の収入、売却候補と時期を示し、提出と納付の予定を別々に確認することにした。

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税務署が分かっているかを推測するより、今の資料を確かめる

税務署は、支払者等から届く法定調書や申告情報、金融機関への照会、質問・検査等を通じて財産を確認する。

死亡届から全国の全財産が自動的に一覧になるわけではない。一方で、現金や家族名義なら分からない、という保証もない。

税務署からのお尋ねや照会は、電話か書面かという連絡方法だけで、調査なのか行政指導なのかが決まるわけではない。

担当者、聞かれた事項、連絡日、回答を求められた期限を記録しよう。放置すれば必ず次に実地調査が来る、という一本道でもない。

集めたいのは、死亡日と相続関係、遺言や分割の状況、財産と借金等、贈与・保険の資料、税務署からの連絡、納付資金の見通しだ。

足りないものも一覧にし、そろった範囲で相談しよう。

奈保と光代は生活費の見通しを整理し、修平は父の取引履歴を集めた。家族の分割希望がまだ違っていても、税務の準備まで止める必要はない。税理士へ相談する時期と資料を確認し、現在の申告・納付の状態を伝えたい。

分割の調整は遺産分割協議(遺産の分け方を決める相続人同士の話し合い)の進め方、今後の準備は相続対策の始め方も参考になる。

現行の取扱いは国税庁の相続税・贈与税の加算税指針と国税通則法で確認できる。

不動産がある場合は、税金を計算するときの評価と分割、納税に使える現金を分けて確認したい。不動産を含む相続の準備も照らし合わせ、特例の適用条件と期限、登記等の仕事を同じ予定表へ整理する。

無申告加算税を、通知・予知の前後で計算する

無申告加算税は、遅れた日数だけでは決まらない。調査の通知を受けたか、調査によって税務署が決定や更正をすることを予知して申告したかが関係する。

以下は、法定申告期限が2024年1月1日以後で、加重や不適用の例外がない場合の基本の区分だ。

一番高い率を、税額全体に掛けるのではない。金額を区切り、それぞれの部分に率を掛ける。

1.調査通知前で、決定等を予知せず自主的に申告した場合

原則として納付すべき税額の5%となる。税務署から何も来ていないことを、申告しなくてよい理由にするのではなく、義務に気づいた時点で申告を進めたい。

2.調査通知後で、決定等を予知する前に申告した場合

  • 50万円以下の部分:10%。
  • 50万円を超え300万円以下の部分:15%。
  • 300万円を超える部分:25%。

3.決定等を予知して申告した場合、または税務署が決定した場合

  • 50万円以下の部分:15%。
  • 50万円を超え300万円以下の部分:20%。
  • 300万円を超える部分:30%。
400万円の税額は、三つに区切る

上の「3」の基本区分の説明例だ。法定申告期限は2024年1月1日以後で、納付すべき税額400万円。過去の申告等に関する累積、加重、不適用の例外はないとする。

最初の50万円 × 15%
= 7万5,000円
50万円超〜300万円の部分
250万円 × 20% = 50万円
300万円を超える部分
100万円 × 30% = 30万円
無申告加算税の合計
7万5,000円 + 50万円 + 30万円
= 87万5,000円

400万円全体に30%を掛けるのではない。本税400万円と延滞税は、別に確認する。

実際には、以前の期限後申告や修正申告等で納付する税額を足す計算、本人に責任のない事情、過去の無申告等による加重も確認する。

古い相続へ現在の表をそのまま当てはめず、法定申告期限と、その申告に適用される法令を確かめよう。

「電話が来た」だけでは、どの区分かは決められない。行政指導なのか調査通知なのか、何を指摘され、いつ何を知ったのかを、書面や連絡記録とともに税理士へ示したい。

加算税がかからない場合も、条件がある

期限内に申告しなかったことに正当な理由がある場合等は、無申告加算税がかからないこともある。

ただし、相続人同士が争って財産の全体を把握できなかったことや、分割協議ができなかったことは、国税庁の指針では正当な理由に当たらないとされている。

税務署の決定を予知していない期限後申告を、法定申告期限から1か月以内に行い、期限内に申告する意思があったと認められる一定の条件を満たす場合にも、無申告加算税がかからない制度がある。

税額の全額を法定納期限までに納めているか、過去の加算税や、この制度を使ったことがあるか等の確認が必要だ。「1か月以内なら誰でも無条件でゼロ」ではない。

反対に、対象となる過去5年の無申告加算税・重加算税等がある場合には、10%相当の加重が問題になる。

前年と前々年の両方に別の相続税の納税義務が生じ、一定の無申告等がある場合の加重も確認する。別の相続での申告も関係し得るため、過去の申告資料も一緒に示そう。

あわせて確認する手続と資料

ほかにも確認する手続がある場合は、相続税の申告・納付・調査の関連ガイドから目的に合う説明を探せる。

よくある質問

相続税の申告期限はいつか

通常、相続が始まったと知った日の翌日から10か月以内である。期限が土日祝日等の場合の調整も確認する。準確定申告等は別の期限となる。

無申告なら一律15〜20%の加算税か

一律ではない。2024年以後に法定申告期限が到来するものでは300万円超部分の率も変わり、調査通知と決定等を予知したかで区分が異なる。不適用や加重も確認する。

分割協議が終わっていなくても申告するか

未分割だけで期限は延びない。法定相続分等に基づく申告・納付と、分割後の修正申告や更正の請求等を確認する。

期限を過ぎたら申告できないか

税務署の決定があるまでは期限後申告ができる。現在の連絡や処分の状況を示して、提出と納付の手続を進める。

準確定申告も相続税申告に含まれるか

亡くなった人の所得に関する別の申告であり、必要な場合は通常、相続が始まったと知った日の翌日から4か月以内に行う。相続税の申告だけでは完了しない。

この記事の読み方

相続の制度は、家族の状況と財産の中身で結論が変わります。

法律・税金・手続きを合わせて読む

税金の計算と、家族の合意・登記・支払資金をあわせて考えるための一般的な解説です。

個別事情で変わる点を重視

期限、特例、評価、分割方法はケースによって変わります。本文では一般的な考え方を示し、個別判断が必要な箇所は留保しています。

最終更新日

最終更新:

文章・図・表示の変更を含む。参照資料の日付や制度の適用時期は、本文で確認してください。

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